私立高の入学金
最近の3年間で、我が塾から「追手前」高校に進んだ生徒は13名(2→6→5)です。
その中で、前期選抜(=推薦入試)での合格が4名ですから、13-4=9名は後期選抜(=一般入試・5教科の筆記テスト)での合格・入学となりました。前期選抜は、定員の半数の募集のところに、志望者の全員が受験していますから、倍率も高くなかなかに厳しい選抜試験となっています。
前期でふるい落とされた受験生は、もう一度追手前を受験しようかどうか悩み、学校の担任や進路指導の先生方、そして保護者の方と相談した上で、再チャレンジするかどうかを決定します。
その時に、後期で必ず合格できるという保証がないために不安にかられ、(担任の先生の勧めなどで)万が一の時のおさえとして、私立高校の一般入試を受験するケースが増えてくるのです。
後期選抜は、定員の残り半分のところに、前期合格者と志望校変更した生徒が除かれた数が受験するということになるのですから、倍率は低く、例年「1倍」前後になるのが常なのです。それでも合格ライン突破の確信を持てるくらいの成績ではない生徒は、私立を受けておかねばならない。
受ける学校は、高知高校、土佐女子高、まれに学芸高となります。私が問題とするのは、その入学金です。これらの高校に望んで進学する場合はなんら問題はないのですが、「行きもしないのに入学金として納めなければならない入学金」の一点です。
例えば、高知高校は160,000円、土佐女子高は130,000円です。これらは高知県の経済状況の中で、生活を節約し切り詰めて生活しているであろうごく一般のご家庭としては、みすみす「捨てる」には惜しい金額です。
例えば、お母さんがパートに出て、時給800円で働いたとして、200時間も仕事を積み重ねなければならないのです。これは節約生活を強いられている家庭にとっては、かなり痛い出費です。塾にだって一年間は通うことのできるくらいの月謝に等しい金額ですね(笑)。
ですから、私は、このあまりにも惜しい出費をなんとしても抑えようと考え、公立難関校を受験する塾生たちには、
「親孝行の一つとして、無駄な入学金を支払わなくても構わないように、日々の受験勉強を頑張って、目の色を変えて学習に取り組み、石にかじりついてでも、「すべり止め」の学校を受験しなくてもいいような状態までに学力を高め、そして合格を勝ちとってほしい。
保護者の皆様を喜ばせてあげるとともに、ホッとさせてあげてほしい。それのお手伝いはとことんまでやる覚悟だよ」
と受験勉強の最中に、常々言っています。保護者の方たちにも、
「全身全霊をかけて、指導しますから、無理して入学金を構えたりする必要はありません。2番手の志望校として、その高校にもしもの場合行きたいという意思がある場合は除いて、行く意思が全くないにもかかわらず、学校の先生に強く受験を勧められたからという理由で受験しなくてもいいように、私が責任を持って指導させてもらいます」
と面談の際にも、はっきりと述べさせてもらいます。まあ、本心としては「受験は何が起こるかわからない面もあるにはあるが、地元の須崎高校は大幅な定員割れだし、理科系の塾生なら高知工業だって、全学科で「再募集」がきっとあるんだから」と思ってもいます。
それでも、一昨年は高知高2名、昨年は高知高1名、土佐女子高1名、9名中の4名が受験して、涙が出るほどに惜しい「保険としての入学金」を納め、見事に追手前に合格することにより、パーッとこれらの高校に寄付してしまいましたが、残りの5名は落ちたらどうしようという不安、いや恐怖感ともいえる気持ちに負けることなく、一発勝負を挑んでくれました。
そして、今年の春の受験では追手前高後期選抜3名、小津高理数科1名、小津高区外1名、合計5名の合格者全員の保護者の方々には、私立高校は受験せずに勝負をかけてもらい、大変喜んでもらえました。
カモがネギをしょってやってくる、または濡れ手に粟状態の、「入学金前納&全納」の仕組みは一考の必要があるのではないでしょうか?私立大学も含めてね。世の中は裕福な家庭ばかりというわけでは、けっしてありません。
こんなことを書くと、経営戦略の一環としてこの入学金獲得のうまい方法を用いているかもしれない、私立高や大学関係者の皆様にお叱りを受けそうですが、(私たちのような)貧乏人の家庭が捻出するお金としては、涙が出るくらいにもったいないお金だということは事実なのですから・・・。
by kururin
« これからの学習塾の進む道 | トップページ | 県下の進学校・難関大学合格状況 »
「学習塾」カテゴリの記事
- もう一生、酒は飲まんぞ(2008.05.13)
- 土佐高校・入試刷新(2008.04.26)
- 若者たちの未来に幸多かれ(2008.04.17)
- 習熟度別クラスへの訣別(2008.03.24)
- 合格発表の報告(2008.03.18)
コメント