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2008年4月26日 (土)

土佐高校・入試刷新

 少子化の荒波をもろにかぶる私たち「学習塾」稼業は、塾生を確保するのに四苦八苦の状況ですが、これは県内の私立高校もまったく同じのようです。

 天下の土佐高(これは私が勝手に付けた呼び名ですが・笑)ですら、今年度の高校入試・一般では「定員割れ」してしまったのです。

 平成20年度 総定員 60名
 推薦受験数 47名 推薦合格数 43名
 一般志望数 20名 当日欠席 6名
 一般受験数 14名 合格数 10名
 実質倍率 1.40倍

となっています。土佐高校が定員割れなんて、前代未聞の事態で、学校関係者に衝撃が走ったことは想像に難くありません。中学入試も1.25倍の低倍率で、易化の度合いは激しく、超難関だった昔日の面影はありません。

 危機感を募らせた学校は、この現状を打破すべく、新機軸を打ち出してきました。これまでの県内私立高入試の慣例を打ち破るフレッシュな内容です。他校の入試の形式にも、かなりの影響が出ることが予想されます。

 土佐高をはじめとする県内難関私立校の志望者・受験者のはなはだしい減少の原因は、追手前高校の大学進学実績の躍進であることは明らかです。それにプラスして、疲弊した県内の経済状況があります。高い月謝を家計から捻出することができない家庭の割合が、年々増えているという現実も公立の雄・追手前志向に拍車をかけているのです。

 先日、「土佐高入試が変わります ~みなさんのチャレンジを待っています!!~」というタイトルの案内チラシが郵送されてきました。

  http://www.tosa.ed.jp/index.html

 思い切った改革で、高校入学志望者の減少に歯止めをかけようという狙いがはっきりと表れています。刷新された内容は、3点。「推薦・一般の募集人数」「推薦資格」「筆記試験の科目」です。ずばり、入りやすくなりました。超難関だった昔とは隔世の感があります。

 高校からの入学定員は、60名。その内、推薦入試では今年まで約40名の募集だったのが、約50名に増やされました。83%を推薦で確保します。追手前高の「前期選抜試験」で、優秀な中学生を根こそぎさらわれることを阻止する狙いが、ここにあると思われます。

 基本をがっちりと固め、ひたむきに学ぶ素直で謙虚で真面目な中学生は、高校に入ってから伸びます。難関・土佐中学に合格しただけで目標を達成したかのように喜び、浮かれて、学ぶ姿勢を失ったエスカレーター組の多くは、あっという間に、高校編入組に抜き去られてしまうのです。

 推薦資格はかなり緩められました。

A:中学3年時の評定平均値が8.2以上(5段階は4.1以上)の者←今年度=8.6以上

B:中学3年時の評定平均値が7.4以上(5段階は3.7以上)の者で、次の①~③のいずれかに該当する者←今年度=7.8以上

 ①県レベル以上の大会・コンクールで4位以上に入賞した者

 ②客観的に認められる卓越した技能や能力を有する者

 ③英語検定準2級以上、子ども県展推薦・特選、読書感想文コンクールで県の最優秀・優秀受賞など、高い能力がある者

 一般入試では、まず募集人数が「若干名」←今年度=約20名、と変更されました。これは「ほとんどを推薦で確保しますよ」という宣言に近いと思います。

 そして、目玉は筆記試験の科目が、国語・数学・英語の3教科になったことです。←今年度:国・数・英・社・理。英語は、リスニングが新たに出題されるようになりました。

 土佐高をはじめとする、私立高校入試の様変わりぶりには驚かされます。加速する少子化の波、疲弊する高知県経済の状況による各家庭の家計の逼迫(ひっぱく)からくる公立高志向、生き残りをかけて土佐の入試改革・刷新に強く影響を受けて、他の私立高校も追随することが予想されます。

 いち早く制度改革を行い、公立の核となる一校=追手前高に県下の優秀な中学生を寄せ集める方針を実施した県教委の狙いが的中し、公立中学→追手前高→国立大学という流れが確かな、うねりを伴った潮流に成長しました。

 厳しく、粘り強く、そして手厚く受験指導を行い、中高一貫の私立校と遜色(そんしょく)のない大学進学実績を出し始めた追手前高への、受験生の流れをなんとしてでも食い止めるべく、私立の各校は知恵をしぼり、戦略を考え出そうと奮闘努力している姿勢がうかがわれます。

 しかし、ひょっとして、もう「時すでに遅し」かも知れません。だって、今年度の追手前高の国公立大学進学実績って、素晴らしいですから!東京大・京都大・大阪大が揃っている上に、大阪大学なんて7名合格中、現役が7名なんですから。中学入学の段階から、私立の行く意味がなくなります。

 土佐・学芸など難関私立の最後の砦=存在意義は、「国公立・医学部」への合格者数で、追手前との差を表すしかなくなっているのが現状です。

 追手前高HPよりのコピペです。

『 平成20年度国公立大学入試 合格者数 142 [3/24(月):現役]

東京・京都・大阪・九州・筑波・ 横浜国立・埼玉・東京学芸・東京農工・金沢・信州・大阪教育・神戸・広島・岡山・滋賀・鳥取・島根・香川・愛媛・徳島・高知・九州工業・大分・琉球・首都東京・ 都留文科・横浜市立・高崎経済・群馬県立女子・京都府立・京都市立芸術・大阪府立・大阪市立・神戸市外国語・兵庫県立・県立広島・岡山県立・山口県立・下関市立・高知女子』

 高校入学から、センター試験まで、2年と10ケ月でここまで受験生たちを鍛え上げ、仕上げて、合格させる指導力・情熱・全校を上げての真摯な取り組みは本当に賞賛に値すると思います。

 我が塾から追手前高に進学したOBたちの、近年の大学合格実績(大阪大学・九州大学・高知大学医学部医学科など)からも、追手前高時代の到来を膚で感じます。

 by kururin

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