こい話し7
建二が大学に入学したころは、大学紛争は終わりかけていた。しかし、セクトが授業をしている教室を占拠することはしばしばあった。
ある日、細木助教授が授業を始めようと教壇に立ったときである。数人のセクトが教室になだれ込んできた。助教授からマイクを奪うと、授業を受けようと座っている建二たち学生に語りかけた。
「この授業を話し合いの場に変える!」
そのとき、建二は助教授を救わねばと思った。そこで、手を上げてしまった。セクトたちの目が一斉に建二をとらえた。建二は言った。
「この授業を話し合いの場に変えるか、みなさんの決を採ってください」
何を思ったのか、壇上のセクトは決を採った。すると、反対多数でセクトのもくろみは破れてしまった。セクトたちは一目散に教室から出て行った。その後、学生たちは助教授の授業を受けることができた。
翌日、助教授室では、昨日の事件が話題に上っていた。建二はこのことを里美がどう思ったか少し気になっていた。
この物語はフィクションであることをお断りしておきます。
by ダジャマン
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