こい話し6
建二が通っている大学は山の中腹にあった。朝は電車で山のふもとまで行き、それからバスで中腹の大学まで行った。帰りは山の下まで歩いていくことが多かった。
ある冬の夕暮れ、友人三人と山のふもとまで歩いて下りていると、途中で並んで歩いていた友人の一人が消えてしまった。横を見ると、穴に落ちていたのである。まさに懸垂状態、両手で自分の体をささえ、間一髪無事だった。だから、暗くなり始めた帰り道は注意して歩かなければならなかった。しかし、夕暮れの港町のネオンはそれなりに美しく思ったものだ。この夜景を見ながら、建二は里美たちとよく一緒に歩いて帰った。
そもそも建二が里美と出会ったのは、大学の細木助教授の教官室だった。大学1年生のとき、教官がグループ生を募集し、合格したものが教官室の使用を許されるのである。大学に入学したころは友人も少なく、居場所も多くなかったので、建二たちは授業がないときはよく教官室に行った。そこで、いろいろなことを話し合ったりした。そこから、建二・明・治・和雄・里美・晶子・咲の間に仲間意識が芽生えていった。
今日の話は架空のものであることをお断りしておきます。
by ダジャマン
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