くもの糸
階段を上っていくと、その先にくもが一匹いました。それは、地におるようにも、宙におるようにも見えました。それを邪魔と思ったのでしょうか。普段は善人面をしているのですが、踏み殺そうという面構えになってきました。右足をあげ、思いっきり踏みました。
しかし、くもはすっと逃げます。地におると思えば宙におり、宙におると思えば地におります。急に気味悪くなりました。それとともに、あることに気づいたのです。足にくもの糸がついていて、その先にくもがいたのです。足をあげればそれとともにくもが浮きます。だから正確に踏めなかったのです。
そこで、普段の善人面にもどり、糸をそっとつかみ、柱に絡みつけてくもを逃がしてあげました。それを見ていたお釈迦様は・・・。
by カイトウモハン
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